老舗企業同士のM&Aを仲介させていただきました。
非常に気持ちの良いM&Aでした。
数多くのM&Aを仲介しても、老舗企業同士というのは意外に少ないものです。
老舗企業が関係するM&Aの多くは次のようなケースです。
- 老舗企業が新しい業態を求めて元気のよい新興企業を譲り受ける
- 新興企業が、「のれん」や「知名度」「信用」「文化」などを得るために老舗企業を譲り受ける
- 老舗企業の事業が古くなり、業績悪化して再生を行う
今回はこれらのどれにもあてはまらず、「素晴らしい老舗企業が、好業績の老舗企業を譲り受ける」というものでした。
好業績の老舗企業の方は後継者問題解決のための譲渡でした。
何が気持ちよかったかというと、お互いに今まで背負ってきた歴史、文化や社会的な役割をよく理解して尊敬し合っていたことです。
なんと、両社の歴史を足すと400年以上にもなります。
譲受け企業は、譲渡企業のオーナー一族が100年以上守ってきた歴史の重みをよく理解し、譲渡後も一族の名前が残るように株式の1%を譲渡企業オーナー一族に残しました。
今後さらに100年、200年の歴史を重ねていく中で、「創業者一族であった」という”印”が残っていく訳です。
これは、一般的なM&Aの手法からしたら思い付かないことであり、「老舗企業ならでは」の発想でした。
お互いが歴史の重みを感じ、尊敬し合っているからこその思いやり、発想だと思います。
私どもM&Aの仲介会社、ファイナンシャルアドバイザーの歴史はきわめて浅いものです。
我々の教科書に載っていないこと、我々が気が付いていない重要なことは山ほどあります。
常に謙虚に、会社の文化、創業者一族の歴史、譲受け企業の責任などに想いをはせながら仕事をしていきたいと感じました。