この季節はいつも、社員の研修に力を入れています。
先週はプレゼンテーション研修を行いました。
社員のレベルアップを考えるたびに「M&Aはビジネスの総合芸術だなあ」と感じます。
M&Aによって顧客の問題解決をしていくには様々な能力・スキル・心構えが必要だからです。
1. M&Aには、まず使命感が必要です。
会社の譲渡や買収はマネーゲームではありません。そこで働く人やその家族にまで想いを馳せて彼らの人生に直接かかわる仕事であるという認識が必要です。
2. ウォームハート&クールヘッド
譲渡企業のオーナー社長は何らかの理由があり自分が育てた会社を手放すわけです。
その「心情」や「心の動き」をウオームハートで理解し、ケアできなければなりません。
一方で、譲り受け側は「組織」です。
今後の事業計画、株式価値、リスク、契約書などをクールヘッドできちんと提案できなければなりません。
3. 戦略構築力と提案力
M&Aは企業戦略の実現として行うものです。譲り受け企業に提案する場合、譲り受け企業の戦略面でフィットする適切な提案ができなければなりません。
また、それを理解していただくためには並はずれた素晴らしいプレゼンテーション能力や、レポート力が必要です。
4. 調整能力
M&Aほど利害関係者が多い仕事はありません。
譲渡企業のオーナーの家族、社員、株主、関与税理士、友人などの調整が必要です。
一方、譲り受け企業では担当役員と部門間の調整のほか、監査法人、金融機関、弁護士、取締役会などとの調整が必要です。
5. スキーム構築力
問題を解決し、双方にメリットがあるM&Aを実現するためには会社法、資本政策などを駆使してダイナミックかつ精密なスキームの構築が必要です。
これには専門知識と経験が必要となります。
6. 営業開拓力
譲渡企業にとって最も適切な相手に提案するためには、多くの譲り受け候補に対してテレアポを取り、面談をし、最適な相手かどうかを判断し、最適な相手ならばM&Aを強くアピールをしなければなりません。
高度な営業能力が問われます。
7. スーパー人間力
M&Aが成立するもう一歩のところで、譲渡企業や譲り受け企業が大きく悩むことや、交渉が暗礁に乗り上げることがあります。
その時に、「お前が言うなら、仕方がないな。決断するよ!!」と言わしめるだけの人間力がなければなりません。
これらのことを全て100点でできる人材はそんなにたくさんいるわけではありません。
しかし、自分が担当した案件に関してはこれらに関して見識を持ち、プロジェクトを組んだメンバーを引っ張っていかなければなりません。
いやはや、M&Aの人材育成は本当に難しいのです。