最近のM&Aで注意していること

M&Aのニーズは、昨年秋くらいから強くなっていると実感しています。

1. 買い手希望企業の急増

多くの企業が閉塞感を持っています。「このままでは成長が止まってしまう!!新しい戦略に乗り出したい」ということで、「他地区への進出」「川下への進出」などの目的からM&Aを希望される企業が急増しています。
昨年の秋口から増加し始め、その結果が今年3月に当社創業以来過去最多の15件/月という多大な成約件数に表れています。

2. 譲渡希望企業の増加

一方、譲渡希望企業も増加しています。不況になると「後継者不在」や「先行き不安」が表面化・顕在化するからです。

<最近注意していること>

このような状況で、案件の交渉自体は積極的に進みます。しかし、今までにはない注意も必要です。それは下記の点です。

譲渡希望企業の業績が急激に悪化する

特に製造業などはドラスティックに業績が悪化するケースがあります。今までも売上が昨対比マイナス10%程度という話はよくありましたが、今は50%減収などの企業も珍しくありません。マッチングしてからクロージングまでの間に譲渡企業のウォッチングを注意深く行う必要があります。

買い手企業が経営不安に陥る

一方、買い手企業も経営状況が悪化する、というケースがあります。譲受け直前ですと資金の手当てができなくなります。譲受け後ですと譲受けた企業も巻き込んで経営不安になってしまいます。当社は「企業の存続と発展のため」にM&Aのお手伝いを行っていますから、これはできるだけ避けたいことです。従って、平時よりも買い手企業の状況把握にも一層努めなければなりません。

また、実務的には譲渡企業オーナーの連帯保証や担保提供の解除、不動産の買い取り、退職金の支給、などをM&A完了後のより早い時期に行っておかなければなりません。

このように、経済状況が変化することによって注意しなければならないポイントも変わってきます。両社オーナー・社員・取引先など、関わっている方全員の満足が得られるM&Aを行うためには、時代に即した柔軟なチェックや注意が必要と感じています。