先日、古いレコードが出てきました。
私が小学生の時のレコードですから、約50年前のものです。初めて両親に買ってもらったレコードでプロコフィエフの「ピーターと狼」です。子供のためにプロコフィエフが作曲したもので、オーケストラと物語の語りで成り立っています。私の母が大事に持っていたもので本当に50年ぶりにプレーヤーの針を落として聴きました。
小学生の頃はレコードは貴重品ですから、この1枚を何十回、何百回と聴きました。今のような凄いオーディオ装置も無く、小型のレコードプレーヤーに真空管式5球スーパーのラジオを繋いで聴いていました。音楽というものは不思議です。私は、音楽が趣味なので自宅には超大型のマニアックなオーディオを持っています。
しかし、超大型のオーディオで聴いた音と、昔5球スーパーで聴いた音は全く変らないのです。音のイメージ、音楽の佇まい、などが全く同じなのでびっくりしました。あの、音楽を聴く楽しさ、ワクワク感はむしろ昔の方があった気がします。
レコードを聴きながら、「ピーターと狼」の話が進んでいく時のスリル、音楽が表現する動き、音楽から情景を想像する事を初めて知ったレコードですが、子供の時の感動や喜びがそのまま湧き上がってきて、「ああ、音楽が好きでよかった」とつくづく感じました。同時に、音楽の良さを教えてくれた母に本当に感謝しました。
趣味は一生の宝ですから!
今の若者や子供たちは、本当に手軽にネットで音楽を手に入れます。それをデジタル再生して使い捨てていきます。本当に質の高い音楽を何百回も聴き込む事によって、初めて音楽に対する理解が得られます。
そうする事によって、音楽を一生楽しむ事が出来るようになるのに、と思うと今の若者や子供たちはちょっと不幸かな、とか思ってしまいますが、これは歳を取った証拠でしょうか?