買い手企業が、売り手企業へ!!

最近、当社では『買い手候補』として提案活動をしていた企業が、突然『売り手』になるケースが増加しています。

どのような場合に『買い手候補』が突然『売り手』になるなるのか、食品卸業界を例にとって想定してみましょう。

食品卸の場合、再編が進んでいるので”年商200億円の県内No.1企業”であっても今後の存続、勝ち残りが確実とはいえなくなっています。
ですから、勝ち組への戦略として隣接県も含めて『地域No.1』になる必要があります。
そこで、当社に買収のコンサルを依頼に来られて、『隣接県も含めてNo.1になりたいので、積極的な買収をしたい。年商400億になりたいので、年商30億の企業を7社買収したい』というお話を頂きます。

依頼を受けた当社は積極的に提案活動を行いますが、その過程で『買収資金は大丈夫ですか?銀行と打ち合わせをしてください』という話になります。
年商30億円の企業を買収するとなると、例えばですが株価7億円、借入金の保証の肩代わり10億円、で17億円の与信が必要となります。それを7社を買収するとなると、17億円×7社=119億円になってしまいます。
もちろん、ギリギリで買収するわけには行きませんから運転資金も含めて150億円は必要になってくるでしょう。

この予算を念頭に銀行に相談に行くと、『150億円の与信などとんでもない!!せいぜい25億円の追加与信ですよ』と言われてしまいます。25億円で買収できる企業は、例えば株価4億円、借入金4億円ぐらいの企業、年商で言うと15億円ぐらいの企業を3社程度、となってしまいます。

精一杯の与信を使い切って、年商200億円を245億円にまで上乗せしても、業界再編の中で大手企業からの脅威に対しては何の効果もありません。
むしろ、財務体質が弱くなった分、リスクだけが増加したことになります。

ここで、経営者の発想の転換が起こります。

『買収で勝ち組に入れないとしたら、業界再編の早い時期に先進的で文化が合う優良大手の傘下に入って、その会社の与信を使って地域No.1になろう。これなら、リスクもないし創業者利得は先に取れるし、企業は勝ち組になれる』となり、譲渡企業になるということです。

我々も、『事業計画』『シェア分析』『与信分析』などをベースにして、『企業の勝ち組戦略』のお手伝いを行っています。