企業戦略を立ててM&Aによる買収を決めたとしても、相手先企業を見つけるのに苦労します。
M&Aを行う場合に、買収対象企業の見つけ方には3つの方法があります。
1. フィクサーによる仕掛け型
金融機関やベテランのアドバイザーが、準大手A社と準大手B社を合併させて大手に仲間入りさせたら良いと考え、両社に声をかける。
メリット:フィクサーがいるので交渉が楽
デメリット:大手企業の合従連衡では多く見られるが、中堅企業では仕掛けてくれるフィクサーがいない。自社の戦略と異なる提案になる可能性が高い。
2. ロングリストによるプロポーズ型
M&Aアドバイザーに戦略を説明して買収意向を伝えると、対象候補となるロングリストが提出される。リストの中から最適な企業を指定し、「貴社を買いたがっている企業がありますが譲渡しませんか?」と声をかけてもらう。
メリット:自社の戦略に合致した相手先が選べる。
デメリット:莫大な時間と手間が掛かる事によってフィーが高くなる。また、売る気のない企業に声をかけてその気にさせるわけだから、高い金額での買収となる可能性が高い。相手が検討に乗ってきても、相手企業の企業実態がわからないまま交渉に入ることになる。成功確率が低い。
3. 譲渡案件検討型
M&Aアドバイザーに譲渡支援を依頼している案件を紹介してもらい検討する。
メリット:すぐに具体的な検討に入ることができて、スピーディに買収が実現する。(2〜6ヶ月)株価や条件に公平感がある。(相手は譲渡を決意した企業であり、株価の目処も立っている)早くから企業実態がかなりの部分正確に把握できる。
デメリット:指定した企業ではないので、自社の戦略にピッタリとは行かない。
2.は実現すれば最高ですが、M&Aの「はやり業種」では譲渡企業のほうも声を頻繁に掛けられるので高値でないと応じてくれません。まあ、銀座のテーラーでスーツを誂えるようなもので、素晴らしくピッタリですがかなり高くつきます。
3.は非常に手軽に多くの企業を検討することができます。その中で、自分では気が付いていない相乗効果がある企業に出会える可能性もあります。
そして、企業実態が明確でスピーディに進められます。デパートで、サイズが揃っている既製服を買うのと似ています。オーダーメイドより良いデザインのものが適正な価格で買える可能性が高くなります。
自社に適したやり方で相手先企業を見つけるのがよいと思いますが、それぞれの方法の特徴・コスト・期間・手間などは十分に把握しておく必要があります。